- 会期
- 平成21年(2009年)4月14日(火)~5月31日(日)
- 観覧料
一般1,200円(1,000円)、高大生900円(700円)
中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方、大阪市内在住の65歳以上の方は無料〔要証明(原本に限る)〕
※カッコ内は、前売り・20名以上の団体料金
※和服でご来館の方は、当日料金より200円割り引き(他の割引きとの併用はできません)- 前売り
3月9日(月)より前売り開始
おもな前売り券発売場所:チケットぴあ各店舗、ファミリーマート、サークルK・サンクス(Pコード:688-538)/ ローソン(Lコード:51382)/セブン‐イレブン/ampmほか京阪神の主要プレイガイド など
展覧会概要
小野竹喬の風景画は、明るく清澄な画面に、光の変化や季節のかすかなうつろいまでもが表わされています。そして一年のうちのある季節、一日のうちのある時間という一端を描きながら、その作品は、自然が絶えず変化し、めぐるという普遍へと私達の思いを至らせます。 1889(明治22)年、現在の岡山県笠岡市に生れた小野竹喬は、14歳で瀬戸内海に面した故里を後にし、京都の竹内栖鳳に師事しました。 75年間の画業を通し、日本の自然の美しさを描き続けた竹喬ですが、<竹橋>の雅号を用いていた初期には西洋絵画への関心が強く見られ、1922(大正10)年から翌年にかけての渡欧を機に、「線」による表現へと方向を変えます。やがて南画への憧れが強まる昭和前期を経て、戦後は『奥の細道句抄絵』に代表される象徴的な表現へと画風は変化しました。そして最晩年に至って、墨彩画への挑戦を試みました。 竹喬の自然を見つめるまなざしや表現の探求は、1979(昭和54)年に89歳で亡くなるまで変わることがありませんでした。小野竹喬生誕120年にあたる本年、あらためてその生涯を代表作100点余りとスケッチにより顧みます。
展覧会構成と主な作品
【第1章】小袖もよう アートをまとう
ここでは多彩な小袖模様に焦点をあて、「四季を彩る花・草・樹」「もようの玉手箱 身近な品々から物語まで」「あこがれの名所 広がる風景」の三つのテーマで百領を越える小袖を紹介します。
松枝垂れ桜に蹴鞠模様小袖 (まつしだれざくらにけまりもようこそで)
浅葱(あさぎ)・薄紫 縮緬地(ちりめんじ) 江戸時代後期 【全期間展示】
肩から腰までを浅葱色(あさぎいろ)とし、裾の薄紫へと徐々に変化する曙染(あけぼのぞめ)の手法を用いた腰模様の小袖。 色押しと、色糸や金糸による刺繍で松と枝垂れ桜、そして蹴り上げられた蹴鞠が表されています。 模様の無い肩から胸には割菱の五所紋が刺繍で表されています。 蹴鞠は、鹿革で作った鞠を蹴る貴族の遊びで、四方に桜・柳・楓・松を植え、檜垣で囲った約15メートル四方の鞠庭で行われていました。
格子に幟旗模様小袖 (こうしにのぼりばたもようこそで)
白・鬱金(うこん) 平絹地(へいけんじ) 江戸時代中期 【全期間展示】
上半身に板締で格子を染め、縄暖簾(なわのれん)に燕の伊達紋を色糸の刺繍で表しています。 裾は鬱金(うこん)のぼかし染とし、竹垣と幟旗(のぼりばた)を友禅染と色糸・金糸の刺繍で表しています。 『正徳ひな形』巻4の79番にある「あやめのはたつくし」という5月5日の端午の節句にちなむ幟旗を表す模様と同じ趣向です。 同じ『正徳ひな形』巻4の78番には「たますたれのもやう」として暖簾が描かれており興味をひきます。 伊達紋の流行を示す友禅染の優品であり、少年用の衣裳であった可能性も指摘されています。
御所車花鳥模様小袖 (ごしょぐるまかちょうもようこそで)
黒紅・紅 綸子地(りんずじ) 桃山~江戸時代初期 【展示期間:4月14日(火)~5月17日(日)】
地を紅、黒、白に染め分け、松や御所車、鳳凰などを細かい刺繍で表し、黒地と紅地には、金の摺箔(すりはく)による文様がびっしりと施されています。 このような特徴的な意匠構成は桃山から江戸初期に隆盛し、慶長小袖、あるいは慶長縫箔(ぬいはく)と通称されています。 今日伝存する慶長小袖には名品として知られるものが少なくありませんが、この小袖はその意匠の見事さ、保存状態の良好さにおいて特筆すべき存在です。 参考館では、入手以来、伝淀殿所用の小袖として大切に保管されてきました。 近世初期の小袖を語るうえで欠くことのできない稀有な資料であり、慶長小袖の白眉です。
【第2章】装いをめぐるとき 時間・季節・機会
ここでは、帷子、浴衣、婚礼衣装、夜着など生活の場に応じて多彩に展開した小袖形式の衣服を紹介します。
楼閣庭園模様帷子 (ろうかくていえんもようかたびら)
白 麻地 江戸時代中期 【展示期間:4月14日(火)~5月17日(日)】
肌触りの爽やかさから、夏の衣服の素材として好まれた麻。この麻を用いた単衣を帷子(かたびら)と称します。 布の両面に糊を置き、藍に浸染(ひたしぞめ)し模様を表出する茶屋染の技法で、楼閣と流水に多様な植物を配した庭園の景色が前面に施されています。 濃淡に染め分けられた藍色線が涼しさを誘います。 刺繍を交えた桜あるいは楓が、黄色の引き染めによる雲取りの中に見られます。 模様を密に染め出した茶屋染の帷子は茶屋辻と呼ばれ、武家婦人に夏の正装として着用されました。
格子に梅樹秋草模様帷子 (こうしにばいじゅあきくさもようかたびら)
白 麻地 江戸時代中期 【全期間展示】
背面右側裾から立ち上がる梅の樹に、籬を表す藍染の格子模様を沿わせ、友禅染と型鹿子に刺繍も加えた梅、菊や萩の花を絡ませた意匠の帷子(かたびら)です。 なお、ほぼ同様の図柄が正徳6年(1716)刊、『珍色雛形都風俗』に見られます。 菊と萩の秋草を用いたことで、涼しい秋の気配を呼び込む趣向がありますが、鮮やかな色使いと細やかな施工で、華やかな印象となっています。
網に魚介模様浴衣 (あみにぎょかいもようゆかた)
白 木綿地 江戸時代後期 【全期間展示】
夏の夕涼みの浴衣掛(ゆかたがけ)は、現在でも身近な風俗です。 浴衣の名称は、蒸し風呂内で着用した麻製の湯帷子が由来で、湯船につかる入浴が一般的となる江戸時代中期以降、風呂上りや湯屋への行き帰りに着用する浴衣が広まりました。 暮らしのなかの寛ぎの衣装として、大胆な模様が好まれました。 この浴衣は伊勢海老、河豚(ふぐ)、鰹、蛸、鯛を散らし、その上に前面網目模様を施すという丹念な施工がされており、網に掛かった魚介という洒落た意匠となっています。
【第3章】小袖へのまなざし
小袖を注文するとき参考にした雛形本と小袖、そして洋画家岡田三郎助のコレクションと絵画を展示。
雪持ち柴垣に梅樹模様小袖 (ゆきもちしばがきにばいじゅもようこそで)
紅 紗綾地(さやじ) 江戸時代中期 【展示期間:4月28日(火)~5月17日(日)】
紅地に、雪の積もった柴垣に梅を表した友禅染の小袖。 梅の花の色押しにはぼかしを効かせ、ところどころ型鹿子も加えられています。 枝の細部は墨の描絵で加飾され、紅葉の一部には華やかな刺繍も施されています。 裾は短く切り落とされていて、袖付の模様がずれていますが、元禄13年(1700)3月刊の『当流七宝常盤ひいなかた』上巻130番「雪柴かきに梅」の模様に酷似していて、この雛形を参考に雛形の刊行から近い時期に作られた小袖と考えることができます。 小袖にはところどころに蝶と大の文字をあしらう丸紋が散らされています。 『当流七宝常盤ひいなかた』の各頁の上欄には様々な紋が参考として描かれていて、ちらし紋の流行を窺うこともできます。
当流七宝 常盤ひいなかた (とうりゅうしっぽう ときわひいなかた)
上巻百三十番「雪柴かきに梅」 元禄13年(1700)3月刊 【全期間展示】
松竹梅に匂袋模様小袖 (しょうちくばいににおいぶくろもようこそで)
紅 縮緬地(ちりめんじ) 江戸時代中期 【全期間展示】
左の脇に若干の余白をのこしながら、糊防染(のりぼうせん)と絞り染、型鹿子、色糸・金糸の縫いなどを用いてデザイン化した松竹梅と香袋を表す紅色の小袖で、古代裂(こだいぎれ)のコレクターとしても名高かった岡田三郎助の収集品です。
特別出品 岡田三郎助 支那絹の前 (おかださぶろうすけ しなきぬのまえ)
髙島屋史料館所蔵 大正9年(1920) 【全期間展示】
大正9年に開催された第2回帝展への岡田の出品作「支那絹の前」(髙島屋資料館所蔵)は、この小袖をまとい、別の小袖を手に、絹の布の前に立つ小山内薫の妹で小説家であった八千代夫人をモデルとして描いたものです。
第4章 コレクション探訪
能装束など小袖以外の所蔵品を展示し、最後に名古屋、東京展では展示されなかった松坂屋百貨店の近代のデザインや広報誌なども紹介いたします。
展示替えリスト
催しのご案内
講演会
時間 / いずれも午後2時~3時30分
場所 / 当館1階 講演会室
定員 / 150名 (当日、午後1時30分より先着順で整理券を配布します。)
※ 聴講は無料ですが、本展の観覧券が必要です。
4月18日(土)
染織参考館コレクションにみる江戸のモード
講師 / 丸山 伸彦 氏 (武蔵大学教授)
4月25日(土)
松坂屋京都染織参考館よもやま話
講師 / 鈴木 元彦 氏 (松坂屋京都染織参考館嘱託)、土井 久美子 (当館学芸員)
5月9日(土)
復元から見た小袖の染色技法 -東福門院の小袖から友禅染まで-
講師 / 河上 繁樹 氏 (関西学院大学教授)
5月16日(土)
大正・昭和初期のきものファッション
講師 / 青木 美保子 氏 (神戸ファッション造形大学准教授)
5月23日(土)
雛形本と江戸のデザイン
講師 / 土井 久美子 (当館学芸員)
和文化ときものフォーラム
時間 / いずれも午後2時~3時30分
場所 / 当館1階 講演会室
定員 / 150名 (当日、午後1時30分より先着順で整理券を配布します。)
※ 聴講は無料ですが、本展の観覧券が必要です。
4月26日(日)
茶の湯ときもの -茶人たちの装い-
講師 / 熊倉 功夫 氏 (林原美術館 館長)
5月10日(日)
きものとかおり -五感を彩る楽しみ-
講師 / 畑 正高 氏 (松栄堂 社長)
5月24日(日)
和菓子ときもの -文様といろ-
講師 / 山口 富蔵 氏 (京菓子司「末富」3代目)
ミュージアムトーク(学芸員による展覧会解説)
4月15日(水)、22日(水)、29日(水)、5月6日(水)、13日(水)、20日(水)、27日(水)
時間 / いずれも午後3時~ 約20分
場所 / 当館1階 講演会室
※ 聴講は無料ですが、本展の観覧券が必要です。
呈茶席
4月19日(日)、5月16日(土)、17日(日)
時間 / いずれも午前11時~午後4時
茶道裏千家淡交会大阪支部連合会による呈茶席を開きます。
場所 / 当館2階 特別室
代金 / 一服(和菓子付)500円
※ただし本展の観覧券が必要です。
※ いずれの日も午前11時、午後1時、午後2時30分にはお点前がございます。
木曜美術館・夕遊花舞台
大阪ナイトカルチャー・小袖展と上方芸能のダブル鑑賞会
午後5時30分入場、展覧会鑑賞のあと、午後7時からは館内エントランスホールで公演をご覧ください。
各回定員150人(先着順)
※ このイベントには、割引、優待はございません。
お申込み方法 住所、氏名、日中連絡が可能な電話番号、ご希望の公演日、参加人数をご記入のうえ、日本経済新聞社・企画事業部までファックス(06-6946-8470)または、Eメール(osaka.semi@nex.nikkei.co.jp)にてお申し込みください。
A.4月16日(木)
春の蝶 三つどもえ新星浪曲師&若トラ噺家
出演 / 菊池 まどか、春野 恵子、幸いってん、桂 春菜
料金 / 3,500円
B.4月23日(木)
春の華 京舞・井上流ではんなりと
出演 / 祇園甲部の芸舞妓、権藤 芳一 氏 (演劇評論家)
料金 / 4,000円
C.5月14日(木)
復元から見た小袖の染色技法 -東福門院の小袖から友禅染まで-
講師 / 河上 繁樹 氏 (関西学院大学教授)
5月16日(土)
春の月 あでやか上方舞、山村流の粋(すい)
出演 / 山村流6世宗家 山村若ほか
料金 / 4,000円
D.5月21日(木)
春の嵐 笑女たちのなにわ繁昌記
出演 / 露の都、桂 あやめ、桂 三扇、桂 ぽんぽ娘
料金 / 3,500円
大阪ナイトカルチャー公式ホームページ
主催
大阪市立美術館、松坂屋京都染織参考館、日本経済新聞社、テレビ大阪
後援
京都市
協力
エプソン販売株式会社、株式会社大丸 ほか