- 会期
平成28年11月8日(火)~12月4日(日)
- 時間
- 午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
- 休館日
- 月曜日
- 料金
一般 800円(700円)、高大生500円(400円)
※( )内は20名以上の団体料金
※中学生以下、障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)は無料。
※大阪市内在住の65歳以上の方も一般料金が必要。
※前売券の販売はありません。
- 主催
大阪市立美術館、朝日新聞社、産経新聞社、日本経済新聞社、毎日新聞社、読売新聞社
概要
※本展覧会は終了しました。
壺の中にはいってみると、愉(たの)しみにあふれた別天地がひろがっていた。この有名な「壺中之天(こちゅうのてん)」の故事は、日常のすぐそばにある全く新しい世界の存在を教えてくれます。これになぞらえて、当館コレクションと寄託品による「壺中之展(こちゅうのてん)」と題した展覧会を開催します。かの物語の主人公のように我々が入り込む壺とは、個々に作品世界をもった美術品、あるいはそれらが組み合わされて織りなす展示空間、ひいては展示の場である美術館です。開館80周年を迎えた大阪市立美術館と作品が織りなす、魅力的な美術の世界をお楽しみいただきます。
昭和11年(1936)5月1日、大阪市立美術館は天王寺に開館しました。今日までの80年間に築かれたコレクションはおよそ8400件をかぞえ、その根幹は多くの寄贈・譲渡者の厚意によって支えられ、形作られてきました。美術愛好家の慧眼(けいがん)を通して蒐集(しゅうしゅう)された日本・東洋美術の粋(すい)が美術館のコレクションを特色づけています。また、関西の代表的な美術館のひとつとして、近隣の寺社をはじめとするたくさんの方々から貴重な文化財の寄託を受けており、その保存や研究、活用も当館の重要な使命の一つとなっています。
本展覧会では、国宝・重要文化財を含む約300件の館蔵・寄託作品を展示いたします。平成26年度の修復後初披露となる葛飾北斎《潮干狩図》(重要文化財)をはじめ、書画・彫刻・工芸などの選りすぐりの逸品を、多彩なテーマによってご紹介します。
主な展示作品
唐犬(からいぬ)≪部分≫
橋本関雪
昭和11年(1936) 本館蔵
昭和11年、当館の落成記念展となった改組第1回帝展への出品作で、当館収蔵品の第1号。
後ろを振り返るボルゾイ犬に牡丹の花が鮮やかである。左側には2頭のグレーハウンドがほぼ原寸大で描かれる。
重要文化財 潮干狩図(しおひがりず)
葛飾北斎
江戸・19世紀 本館蔵(中島小一郎氏寄贈)
平成26年度の修復後初披露となる。
北斎が50歳ごろに描いた肉筆浮世絵で、代表作の一つに数えられる名品。
遠くに富士をのぞむ浜辺で、潮干狩りを楽しむ人々を描いている。
故事人物蒔絵行厨(こじじんぶつまきえこうちゅう)
江戸・18世紀 本館蔵(カザールコレクション)
提げ手のついた鼓をかたどる枠のなかに八角形四段の重箱、八角形の徳利、皿、杯などが収められている。総体の大半は呂色(ろいろ)塗りで仕上げられ、中国の故事にちなむ二十四孝と菊慈童、そして犬、菱、菊など各種の文様が薄肉の金銀高蒔絵であらわされている。
蘭図(らんず)
鄭思肖(ていししょう)
元・大徳10年(1306) 本館蔵(阿部コレクション)
鄭思肖は、宋が元に滅ぼされたのち、宋の王室である趙(肖)氏を思う、という意味を込めて「思肖」と改名して忠節を保った。
君子の象徴とされる蘭を描くのを得意としたが、土地が元に奪われたとして根を描かなかったという。本図もやはり根を描かず、淡墨を刷いた姿は清廉で瀟洒である。
銀鍍金透彫 宝相華文経箱(ぎんときんすかしぼり ほうそうげもんきょうばこ)
南北朝・14世紀 (田万コレクション)
重要文化財 四季花鳥図屏風(しきかちょうずびょうぶ)≪左隻≫
狩野宗秀(かのうそうしゅう)[1551-1601]
桃山・16世紀 本館蔵(田万コレクション)
豊臣秀吉像(とよとみひでよしぞう)≪部分≫
惟杏永哲(いきょうえいてつ)賛
桃山・慶長5年(1600)賛 本館蔵
燕子花図(かきつばたず)
尾形光琳(おがたこうりん)[1658-1716]
江戸・18世紀初 本館蔵
石造 菩薩交脚像龕(せきぞう ぼさつこうきゃくぞうがん)
北魏・5世紀後半 本館蔵(山口コレクション)
駿骨図(しゅんこつず)≪部分≫
龔開(きょうかい)[1222–1304以後]
元・13-14世紀 本館蔵(阿部コレクション)
彫漆 牡丹文盆(ちょうしつ ぼたんもんぼん)
明・15世紀 本館蔵(カザールコレクション)
青磁象嵌 葡萄童子文瓢形水注(せいじぞうがん ぶどうどうじもんひょうけいすいちゅう)
高麗・12-13世紀 本館蔵(広田松繁氏寄贈)
重要文化財 金銅 三昧耶形五鈷鈴(こんどう さまやぎょうごこれい)
平安・11-12世紀 大阪・高貴寺蔵
晩秋(ばんしゅう)
上村松園(うえむらしょうえん)[1875-1949]
昭和18年(1943) 本館蔵(住友コレクション)
白泥加彩 風神一文字涼炉(はくでいかさい ふうじんいちもんじりょうろ)
青木木米(あおきもくべい)[1767-1833]
江戸・19世紀
猫図(ねこず)
原在正(はらざいしょう)
江戸・18-19世紀初 本館蔵(田万コレクション)
◆国宝
・六道絵(優婆塞戒経所説念仏功徳幅) 鎌倉・13世紀 滋賀・聖衆来迎寺蔵
・金銀鍍宝相華文透彫 華籠 平安・12世紀 滋賀・神照寺蔵
◆重要文化財
・鶴虎図下絵(小西家伝来・尾形光琳関係資料のうち) 尾形光琳 江戸・17-18世紀 本館蔵(武藤金太郎氏寄贈)
・銅 湯瓶 鎌倉 13-14世紀 本館蔵(田万コレクション)
・銅 萩薄扇面双雀文鏡 南北朝・14世紀 本館蔵(田万コレクション)
・菩提樹蒔絵伽羅箱 江戸・17世紀 大阪・安福寺
・小早川秀秋像 弓蔵善疆賛 桃山・慶長8年賛 京都・高台寺
・伏生授経図 伝王維 699-759あるいは701-761 本館蔵(阿部コレクション)
・木造 吉祥天立像 平安・11世紀 奈良・薬師寺
・阿弥陀聖衆来迎図 平安・11-12世紀 滋賀・浄厳院
・羅漢像 鎌倉・13世紀 京都・大心院
・木造 阿弥陀如来坐像 鎌倉・13世紀 大阪・専修寺
・山王霊験記 室町・15世紀 滋賀・延暦寺
など52件
◆その他みどころ
・蔬菜図押絵貼屏風 伊藤若冲 江戸・寛政6年
展示の構成
◆第1章 美術館小史
「美術館とコレクション」〈第1-2室〉
◆第2章 美術鑑賞入門
「かたちをたのしむ 8(は)・0(まる)・壺(ツボ)」〈第3-4室〉
◆第3章 日本美術
「桃山人(ももやまびと)―肖像画レクイエム」〈第5室〉
「洗練華麗の極み」〈第6室〉
「爛熟の江戸文化」〈第7室〉
「文人趣味と中国への憧れ」〈第8室〉
◆第4章 中国美術
「書韻画情(しょのひびき、えのこころ)」〈第9室〉
「雕刻時光(ときをきざむ)」〈第10室〉
◆第5章 仏教美術
「尊(とうと)キモノ」〈第11-12室〉
◆第6章 近代美術
「想い出のおおさか」〈2階回廊〉
学芸員による連続講座
①11月12日(土)
テーマ「大阪市立美術館80年の歴史とコレクション」
講 師:守屋雅史
②11月13日(日)
テーマ:「妙心寺塔頭(みょうしんじたっちゅう)に伝来する桃山時代の武家肖像画について」
講 師:知念 理
③11月19日(土)
テーマ:傅山(ふざん)「燕文貴(えんぶんき)江山楼観図跋(こうざんろうかんずばつ)」をめぐって
講 師:弓野隆之
④11月20日(日)
テーマ:弥勒(みろく)のすがた-中国・北魏(ほくぎ) 石造菩薩交脚像龕(せきぞうぼさつこうきゃくぞうがん)を中心に
講 師:齋藤龍一
⑤11月26日(土)
テーマ:葛飾北斎「潮干狩図」(重要文化財)をめぐって
講 師:秋田達也
⑥11月27日(日)
テーマ:仏教絵画-聖衆来迎寺(しょうじゅうらいごうじ)蔵「六道絵(ろくどうえ)」(国宝)を中心に
講 師:石川温子
⑦12月3日(土)
テーマ:異形(いぎょう)の系譜-大阪・高貴寺(こうきじ)所蔵 金銅三昧耶形五鈷鈴(こんどうさまやぎょうごこれい)を中心に
講 師:児島大輔
⑧12月4日(日)
テーマ:阿部コレクションの宋元絵画(そうげんかいが)
講 師:森橋なつみ
◆時間:各日とも午後1時30分~2時30分
◆場所:1階講演会室
◆定員:150名(先着順)
①~⑧ともに聴講無料。申し込み不要。
ただし、当日の観覧券が必要です。
※講座内容、講師は変更になる場合があります。
学芸員によるギャラリートーク
会期中の毎土曜・日曜、午前11時から30分程度。
展示室を回りながら、毎回異なるテーマで担当学芸員が見どころを案内します。
※参加費は無料ですが、当日の観覧券が必要です。
※展示内容については、作品リストをご覧ください。
11月12日(土)
テーマ:日本美術
展示室:7室「爛熟の江戸文化」、8室「文人趣味と中国への憧れ」
11月13日(日)
テーマ:日本美術
展示室:5室「桃山人―肖像画レクイエム」、8室「文人趣味と中国への憧れ」
11月19日(土)
テーマ:中国美術と仏教美術
展示室:9室「書韻画情」、12室「尊キモノ」
11月20日(日)
テーマ:中国美術と仏教美術
展示室:9室「書韻画情」、10室「雕刻時光」、11-12室「尊キモノ」
11月26日(土)
テーマ:日本美術
展示室:5室「桃山人―肖像画レクイエム」、6室「洗練華麗の極み」
11月27日(日)
テーマ:仏教美術
展示室:11-12室「尊キモノ」
12月3日(土)
テーマ:美術館小史と美術鑑賞入門
展示室:1-2室「美術館とコレクション」、3-4室「かたちをたのしむ8・0・壺」
12月4日(日)
テーマ:中国美術と仏教美術
展示室:9室「書韻画情」、10室「雕刻時光」、11-12室「尊キモノ」