主なコレクション (Collection)
阿部コレクション
東洋紡績株式会社(現東洋紡績株式会社)の社長を務め、その後貴族院議員ともなった阿部房次郎(あべふさじろう 1868-1937 )氏が収集し、ご子息孝次郎氏より昭和17年に寄贈された中国書画160点からなります。 伝王維筆「伏生授経図」をはじめ重要文化財4点を数え、燕文貴筆「江山楼観図」など中国書画の歴史を語るうえで無くてはならない作品も多く含まれています。世界的に著名な本館の代表的なコレクションです。
木蓮・木瓜図 (花卉冊 1冊12面のうち)
清時代 17世紀後半
山口コレクション
旧関西信託(現在三菱UFJ信託銀行となっている東洋信託銀行の前身)の社長などを務めた関西の実業家、山口謙四郎(1886-1957)氏が収集されたもので、中国の石造彫刻125点・金銅仏5点・工芸94点の計224点からなり、本館には昭和52年・53年に譲渡されました。 山口謙四郎氏は特に中国の石像彫刻に造詣が深く、石仏は北魏の天安元年(466)銘仏坐像をはじめ隋・唐にいたるまで、基準作ともなる紀年銘を持つ優品が揃い中国仏教彫刻史を概観することができる日本屈指のコレクションとなっています。
石造 菩薩交脚龕
田万コレクション
大阪で衆議院議員・弁護士として活躍した田万清臣(たまんきよおみ、1892-1979)氏が、明子(あけこ)夫人とともに集められた615点におよぶ仏教美術・近世絵画を中心とした東洋美術のコレクションで、清臣氏の一周忌である昭和55年に、故人のご遺志により夫人から当館に寄贈されました。コレクションのうち仏教美術は154点を数え、「銅 湯瓶」をはじめ、4点の重要文化財が含まれています。昭和57年と62年にはご子息侃(ただし)氏より48点の作品を追加寄贈いただきました。
四季花鳥図
桃山時代 16世紀後半
カザールコレクション
明治末年の来日以来、昭和39年に亡くなるまで日本に住んで日本文化を研究し、蒔絵を中心にした漆工品を収集した神戸在住のスイス人U.A.カザール(Ugo Alfonso Casal 1888-1964)氏によるコレクションです。江戸時代から明治にかけての漆工品3,409件からなり、昭和50年代を中心に7回に分けて譲渡をうけています。 豪華な蒔絵調度や香合、そして印籠、櫛・笄、根付などの装身具が含まれます。これらの精緻な蒔絵の優品は明治以降、海外のコレクターの間で人気が高かったため多くが流失しており、国内では珍しい収集となっています。
九曜紋蒔絵婚礼調度
小西家伝来・尾形光琳関係資料
尾形光琳(1658-1716)の子・寿市郎が養家の小西家にもたらしたもの。昭和18年に武藤金太氏より寄贈された当館収蔵の33件と、京都国立博物館収蔵の257件があり、一括して重要文化財に指定されています。 徳川秀忠の娘で後水尾天皇の中宮である東福門院の呉服御用をつとめた光琳の生家呉服商雁金屋で作られた小袖を記録した衣裳図案帳や資料、光琳や弟尾形乾山に関わる記録、そして絵師光琳の下絵・画稿・粉本、諸文書など多岐にわたり、光琳の芸術と生活を如実に伝えます。 絵画、書、染織、蒔絵、陶磁器など美術工芸、また当時の芸能や文化、経済を考える上で重要な資料です。
重要文化財 円型図案集のうち 鹿図
江戸時代17後半-18世紀初期
師古斎コレクション
中国拓本に造詣の深かった、大阪出身の岡村蓉二郎氏(1910-1991 号:商石、雅号:師古斎)が、主として昭和10年から昭和18年頃までに収集した中国金石拓本 400件で、昭和49年一括譲渡されました。商周代から唐代に至る金文・墓碑・墓誌・造像銘など多彩な内容の拓本が収蔵されています。自らも拓本をとり、その拓法を研究した岡村氏の旧蔵品は、墨法・拓法に優れた旧拓を多く含み、美術的・歴史的資料としての価値に富んでいます。
天発神讖碑
住友コレクション
昭和18年秋に朝日新聞社の企画により開催された「関西邦画展覧会」に出品するために、上村松園・山口華楊・北野恒富・榊原紫峰など、当時の関西日本画壇の代表的な作家20人によって制作された20点の日本画からなります。展覧会の開催後、昭和19年に展覧会への出資者であった男爵16代住友吉左衞門(住友友成 1909-1993)から寄贈されました。
晩秋
昭和18年
小野順造コレクション
小野薬品工業株式会社の社長・会長であった小野順造(1916-89)氏が昭和30年後半以降に収集された南北朝から唐時代にかけての19点の中国石窟将来の石造彫刻からなるコレクションで、平成7-14年に遺族から大阪市立美術館に譲渡されました。山西省雲岡石窟、山西省天龍山石窟、河南省龍門石窟などの名だたる石窟将来の仏頭を中心とし、当時の彫刻技術の最高峰を示すものです。
石造 如来立像頭部 龍門石窟奉先洞将来
田原コレクション
大阪枚方で耳鼻咽喉科を開業されていた田原一繁(1934-2009)氏が夫人元子氏とともに収集に励んだ鍋島藩窯の染付・色絵など118件からなるコレクションです。初期の段階から後期の終末期まで通史的に集められた鍋島藩窯のコレクションは希少で、学術資料としても貴重です。平成23年に元子夫人から一括寄贈を受けました。