リニューアルオープンまであと100日!
- 投稿日時
- 2024/11/21
リニューアルオープンまであと100日!
大阪市立美術館の内藤栄です。
2025年3月1日のリニューアルオープンまで、あと100日となりました。
開館以来初めてとなる大規模改修を終え、大阪市立美術館は2年5カ月ぶりに皆さんのもとに戻ってまいります。「生まれ変わった」というより「本来の輝きを取り戻した」と私は感じています。
改修中たくさんの発見がありました。戦後美術館を接収していたGHQによる壁面の落書きなどもそうですが、一番は「オリジナル」が予想以上に残っていたことです。今回、耐震に問題のある中央ホールのシャンデリア(昭和50年代設置)を降ろしましたが、シャンデリアと同時期に張られた天井をはがすと奥からオリジナルの天井が現れました。白いしっくいで作られた、簡素ながらも美しい天井です。改修ではこのようなオリジナルは可能な限り活用し、創建時の姿に近づけました。
改修コンセプトの一つは「ひらかれた美術館」。いささか使い古された言葉ですが、今でも美術館や博物館は敷居が高いと言われることがあります。そこで、まず足を向けていただこうと考え、中央ホールを無料ゾーンといたしました。入ってから気になる展覧会や惹かれる作品があれば、ぜひ展示会場にも足を延ばしてください。「ひらかれた」にはもう一つ別の取組みがあります。改修前は特別展の前後、展示替えのためにそれぞれ数週間休館していましたが、改修後は休館せずに開館できるようになります。これにより、改修前の約1.5倍に当たる年間300日ほど「開く」ことが可能となります。
では肝心の展覧会はどのように変わるのでしょうか。まず1階を企画展示、2階を特別展の会場とします。企画展示は当館のコレクションから、毎回テーマを変えて作品を選んで展示いたします。また、世界的なコレクションとして知られる中国の石仏や絵画、貴重な日本の仏教美術、絵画、工芸品などのほか、超絶技巧の印籠や根付などをご覧いただけます。また、当館の特別展はこれまでにも多くの美術ファンから高い評価をいただいてきました。これからも東洋、日本美術から西洋美術にいたる幅広い分野の特別展を開催してまいります。
大正時代の末、大阪市立美術館設立の準備委員会において展示と収集の方針が決まりました(委員には森鴎外もいます)。展示品は「純粋美術」(彫刻や絵画など)を軸に「応用美術」(工芸品)を加え、古美術を主としつつも近代美術も展示し、さらに美術品の国籍は洋の東西を問わないとなりました。一言でいえばあらゆる美術品を展示するという方針です。100年を経て少なからず修正は必要ですが、私は開幕時の理想は大事にしたいと考えています。これからも皆さまが日本の美術を楽しみ、また各国の美術を探訪する橋渡しとなるよう尽力してまいる所存です。
2025年11月21日
大阪市立美術館
館長 内藤 栄